2023年7~8月 中国湖南省の旅行 - シーン1. 都市間の移動

1か所しか滞在しない旅行であれば関係ありませんが、何か所か回る場合は、移動手段を考える必要があります。

鉄道

中国の鉄道については中国鉄道時刻研究会2023年3月に書かれた5つの記事がすばらしいです。
情報は整理され、網羅され、わかりやすく、無駄がないです。
これだけ読めば中国で鉄道に乗れます。

以下、私が実際に見てきたことを中心に蛇足を書きます。

今回利用した区間

今回私は以下の8つの区間で高鉄を使いました。

1. 香港西九龍〜広州南
2. 広州南〜長沙南
3. 長沙〜張家界西
4. 張家界西〜懐化南
5. 懐化南〜長沙南
6. 長沙南〜岳陽東
7. 岳陽東〜広州南
8. 広州南〜香港西九龍

なぜか長沙に2回行っています。
別に長沙が大好きというわけではなく、今回行き先に決めた町(4か所)とそれらの路線網上の配置的にどうしても長沙を2回通る必要があったためです。
あと下の方に書いているTrip.comでの予約の顛末も関係してます。

香港から鉄道で中国内地へ入る

今回は湖南省の旅行です。
そして最初の方の記事で書きましたが、まずフライトの安さから日本から香港へ入ることにしました。
そうすると次に香港から湖南省へ行く方法を探すことになります。
もちろん飛行機が早くて楽なのでベストですが、残念ながらこれがまた高かったのであきらめ、鉄道を使うことにしました。
(無職なので時間はありました)

ただ、香港から湖南省(だけでなく、中国各地)へ直接行ける便はとても少ないです。
なので香港から中国本土へ入った玄関口(の一つ)である広州で一旦乗り換えることにしました。
香港から長沙へ直接行ける便は1日3本、それに対して香港から広州へは30本以上、広州から長沙へは100本以上と、乗り換えることによって選択肢がぐっと広がります。
仮に香港から長沙への直通便を買ったとして、例えば日本からの飛行機が遅れて列車に乗り遅れたら代替手段を考えないといけません。
そこで旅程に余裕を持たせました(広州で一泊しました)。

なお玄関口として利用するのは広州でなく深圳(深圳北駅)でもよさそうです。

高鉄について

ざっくり日本の新幹線と同じイメージでいいです。

私は過去の中国旅行で鉄道はかなり利用してきたと思いますが、高鉄は旧タイプの鉄道(ここでは「在来線」と呼ぶことにしましょう)に比べて使い勝手が格段に良くなったと思います。

なお動車(D列車)もほぼ新幹線ですが、高鉄(G列車)の方が早いし本数も高鉄の方が全然多いのでわざわざ動車を選ぶ必要はあまりないでしょう。

路線網

中国全土に広がっています。
基本的には全国の主要都市で利用できそうです。
例えば今回私が旅行した湖南省ではすべての地区級市(および自治州)に停まります。
ただ小さい駅には停まりません。新幹線なので。

線路網はおおむね在来線と並行して設置されているようです。
なので小さい街に行きたければ最寄りの駅で降りて在来線に乗り換える手もあります。
ただ高鉄の駅と在来線の駅が結構離れているケースが多いです。
例えて言えば「横浜」と「新横浜」みたいなものでしょうか。
新横浜は在来線も止まるのでちょっと違いますが・・・。

国鉄道時刻研究会さんの解説では、軌間が同じのため在来線との乗り入れがされているとのことですが、自分が見た限りでは、高鉄は高鉄、在来線は在来線と結構はっきり住み分けしていると思いました。

在来線の線路は地図で見ると結構ジグザグしているので、それを時速300kmで突っ走ったら脱線しそうです。
逆に高鉄のために敷いた線路を在来列車が走るなら大丈夫ですが、あまりゆっくり走られると邪魔です。

所用時間

新幹線なので速いです。
例えば広州から長沙まで、おおむね在来線で8時間30分〜9時間30分程度、高鉄で2時間30分〜2時間50分程度です。
(停車駅の数によって、この範囲外の便もあります)
ざっくり4分の1〜3分の1くらいの時間短縮です。
9時間と2時間半では大違いです。

本数

在来線より大幅に増えました。
例えば広州から長沙へ行ける列車は在来線で1日40本程度、高鉄で118本程度です。
ただこれで中国の皆様の需要に十分応えているかというとわかりません。
私が乗った便はほぼすべて満席でした。
途中駅で止まって降りた人がいたかと思うと、その席はすぐにその駅から乗ってきた人が座ることが多く、まさに常に満席といった感じです。

料金

在来線の広州〜長沙間で
硬座105元
硬臥184元
軟臥338元

高鉄の広州南〜長沙南間で
二等314元
一等504元
商務995元

高鉄は便利ですが、少々お高めなのは否めません。
(それでも飛行機よりは安かった)

また一等と二等でも値段がかなり違います。
ただ私は一等と二等両方乗りましたが、快適さも段違いでした。
絶妙な値段設定だと思いました。
ただ二等でものぞみの普通指定席くらいに快適ではあります。

便名の呼び方

高鉄の便名は「GXXXX」(Xは数字)です。
Gは高鉄を意味するようで、実際駅員さんたちはこのGを高(gāo)と発音してました。

雰囲気

昔在来線を利用して旅行していた時は、列車に乗り込むと非常にのんびりした空気が車内を支配していたものですが、そうした雰囲気は高鉄では完全に消え失せました。

切符の購入 - 一般論

基本的には中国鉄道時刻研究会さんの解説の通りです。

できれば当日駅に着いてから切符を買うのではなく事前に、せめて前日には購入しておくべきと思います。
切符はどんどん売れていきます。
当日券を探そうとすると軒並み売り切れ状態です。

駅の切符売り場には券売機と有人窓口がありますが、ここで切符を買っている人はほとんどいません。
皆さんネットで買っているのだと思います。
券売機は、私が見た範囲ではパスポートは使えませんでした。
有人窓口は、昔は長蛇の列ができているのが当たり前でしたが、今はガラガラです。
とはいえネットで買った方が楽なので、アプリの不調などでなければ駅の切符売り場で買う必要はないでしょう。

ネット

公式12306、Trip.comの他、微信のミニプログラムでも買えるようです。

12306については複数の方が4回制限について注意喚起しておられます。

アジアで暮らすさん

よんじーの中国ライフさん

チャイチャイチャイナーさん

さて私は12306は使わず、乗車した区間すべてTrip.comで購入しました。

切符の購入 - Trip.comで購入した体験談

2か月前から「予約」可能

鉄道の切符は中国国家鉄路集団有限公司(略して国鉄)が2週間前から売り出します。
公式サイト12306でも2週間前にならないと買えません。

Trip.comでは2か月くらい前から予約できます。
ここでの「予約」は、「予約の予約」みたいなもので、その時点ではまだ切符を買えたわけではなく、国鉄が切符の販売を開始したら代わりに買ってくれます。
購入完了したら「発券されました」と連絡が来ます。
大抵は2週間前に販売開始されてすぐに(即日)発券されました。

クレジットカードが使えます。
ただ、12306と比べると手数料がかかっているはずです(よくわかってない)。

発券されない

しかし、2週間前になっても発券されない場合がありました。
具体的には上記8区間のうち5と6と7です。
(5と6は、この時は懐化から岳陽までの直通便を予約してました)
しばらく待っていてもなかなか発券されず、8の販売開始日になった時8が先に発券されました。

これは何かおかしいと思って調べてみると、予約指定した便はすでに満席、売り切れになっています。
取れなかったとしたらなぜその連絡が来ないのか、もしかしてキャンセル待ちをしているのか、いずれにしてもこのままではまずそうなのでキャンセルし、別の空席がある便を「予約」しました。

ここで上記5と6と直通で結ぶ便はすべて売りきれていたため、やむなく乗り換えとしました。
この時当然2週間前の販売開始時点は過ぎているので、即座に発券されました。

最初に発券されなかった原因は不明ですが、人気が集中し販売開始と同時に売り切れたのかもしれません。

乗車

おおよそ列車の発車時刻の1時間前に駅に着けば十分、実際には30分前くらいでも大丈夫そうですが、万一乗り遅れたら悲しいので余裕をもって行動したいところです。

鉄道の乗車では次の3回切符のチェックがあります。

・駅の列車待ちエリア(候車室)に入場する時

・候車室からホームへ入る時

・目的地に着いて駅から外に出る時

改札という表現が正しいかわかりませんが、ここでは便宜的に上から順番に「入改札」「乗改札」「出改札」と呼ぶことにしましょう。

いずれも自動改札機が数台〜十数台と、有人改札が一つ〜二つあります。

自動改札機

身分証問題の項では、自動改札機は「QRコード」か「身分証・パスポート」をスキャンすると書きましたが、鉄道の改札機においては、QRコードを読み取る部分はあるものの、使っている人はいませんでした。

よって、中国人なら「身份証(居民身份証)」を、外国人ならパスポートを読み取らせて改札を通ります。

この時顔の撮影もしているようです。顔の認証までしているかはわかりません。

で、このパスポート読み取りですが、身分証問題のページでも書きましたが、なかなかうまく読み取ってくれません。
またそもそもパスポート読み取り部がついていない改札機もあります。
読み取りがダメなら、もしくはどうせダメだろと思うなら有人改札に向かいます。

改札機のパスポート読み取り部

パスポート読み取り部のない外国人門前払い改札機
有人改札

有人改札での対応は次のいずれかでした。

・専用の読み取り装置でパスポートをスキャンする

・パスポート情報を手入力して切符が購入されているか確認する

・パスポートをチラ見しただけで通してくれる

・パスポートでの照合はせず購入情報を求められる(スマホの購入画面を見せる)

いずれにしてもそんなに手間取ることはなかったです。

入改札の状況

人の数に対して自動改札機の数が十分に設置されており、全く混雑していませんでした。
有人改札も多くても10人くらいしか並んでなかったと思います。

改札の後、荷物検査があります。

乗改札の状況

昔からそうですが、普段は開放されておらず、列車の出発前10~20分くらい前になると改札が通れるようになります。
そして出発5分前くらいになるとまた封鎖されちゃいます。
さらに自動改札といっても、身份証にしろパスポートにしろうまく読み取っても数秒かかるので、日本のSuica改札のようにスイスイ進まないです。

なのでこの改札、行列ができます。

「自動改札で失敗して有人改札の列に並び直していては時間的にヤバそうだ」と思ったら、最初から有人改札に並んだ方がいいです。

今回中国を旅行して、行列というものを見なくなったのですが唯一残っているのがここですね。

出改札の状況

中国の鉄道駅の構造は一方通行になっており、「入改札→乗改札→乗車」と「下車→出改札」は別ルートになっています。

なので入改札と出改札は、日本は共通ですが中国は別です。

出改札は列車を降りた人がドッと押し寄せるのでその時だけちょっと混雑するような感じです。

自動改札機のパスポート読み取り成功率

私は鉄道に8回乗ったので8x3=24回改札を通りました。
まず、そもそもパスポート読み取り装置が付いていない改札機が1~2回あったと思います。
それから、「乗改札」のうち上記の「時間的にヤバそう」と思った2~3回は、最初から有人改札に並んでます。
それ以外は自動改札での読み取りにチャレンジしましたが、改札機が正常にパスポートを読み取ってくれて通過できたのは5回です。
成功率は30%以下でしょう。

列車へ乗り込む

在来線は、ホームから列車に乗り込む時、各車両の乗車口に係員がいて、係員に切符を見せて「自分の席がある車両」でないと乗れなかったと記憶しています。
高鉄ではどの車両からでも乗れました。
もう発車しそうであれば取り急ぎ手近の車両に乗り込み、車内で歩けばいいです。
ただ今回は在来線を使っていないので、もしかしたら今は在来線もそうなってるかも。

バス

バスの意義

何といっても、鉄道が通っていないような小さな町にも行けるというところでしょう。
鉄道は、在来線であれば高鉄よりも小さな町に止まりますが、バスはさらに在来線も通っていない地域にもきめ細かく運行されています。
さらに、中国人の方々はバスが走るルート上の道で待ち構えて途中で乗ってきたり、逆に走行中にバスを止めて降りたりしています。
これならバスの始点・終点だけでなくルート上ならどこにでも行けることになります。
まあ外国人がやるにはちょっと高等技になりますが。

あとは安いというのもありますが、よっぽどお金がないのでなければ、鉄道があれば鉄道を使った方がいいと思います。

今回利用した区間

下記3区間でバスを使いました。

・張家界西〜武陵源
・懐化南〜黔城
・懐化南〜洪江古商城

いずれも鉄道が通っていない区間で、鉄道の「最寄り駅」からの移動です。
長くても1.5時間くらいの距離です。
このようにできる限り行けるところまで鉄道で行き、最後にバスを使うのが妥当な方法だと思います。

バス乗り場

いわゆる「バスターミナル」です。
昔は鉄道駅とは全く関係ない街外れにポツンとあった気がしますが、今は鉄道駅に隣接してあるような感じです。
便利になりました。

場所は事前に百度地図で確認できます。

「なんとか汽車站」とか「なんとか客運站」とあればバスターミナルです。

上記の「張家界西」「懐化南」は鉄道の駅名ですので、その駅に隣接したバスターミナルの名前としては正しくは「張家界高鉄汽車客運站」「懐化総合枢紐客運站」となります。

そのバスターミナルからどこへ行けるのかを調べるのは、私は百度を使いました。

切符の購入

バスターミナル内に切符売り場があります。

鉄道と違い、事前に切符を買わずにバスターミナルに行っても十分空席がありました。
上記いずれの区間も私は直近のバス(つまり「次に出るバス」)に乗ることができました。

券売機

自分がトライした範囲では券売機での切符の購入には中国の身分証が必要で、パスポートは使えませんでした。
もしパスポートが使えればこれが一番簡単な方法でしょう。

アプリ

多くの場合、微信のミニプログラムで切符を購入することができるようになっていると思われます。
そのミニプログラムを知っていればバスターミナルに行く前に事前に購入しておくことも可能なはずです。
しかしそれは「知っていれば」の話であって、どうやってそのミニプログラムを見つけ出すかがそもそも難しい。
本腰を入れて百度等で調べればできなくはないでしょうが・・・。
また鉄道であれば12306やTrip.comで全国の切符が買えますが、バスの運営主体は地域ごとに異なるので、ミニプログラムもそれぞれ別です。

切符購入ミニプログラムがあるのなら、おそらくは切符売り場内にミニプログラムの案内板みたいなものがあるはずです。
そこにQRコードが表示されています。
そのQRコードを読み込むとミニプログラムを起動できます。
が、起動できたとしても次は身分証問題が待ち受けています。
それを考えると最初から有人窓口に並んだ方が早いかもしれません。

私は1回だけアプリで買うことができました。

有人窓口

昔は、鉄道の有人窓口が長蛇の列なら、バスの窓口では列の形にすらなっておらず窓口を中心にゴチャッと「人だかり」ができているような状態で、それをかき分けて窓口まで到達する必要がありました。

現在は、何らかの理由で券売機やアプリが使えなかった人だけが使うので、空いています。
自分が見た限りでは多い場合でも2~3人しか並んでませんでした。

パスポートを出して買います。
支払いは微信・支付宝とも使えるようでした。

有人窓口がないよ?

券売機もアプリも身分証が必要で買えないのに有人窓口がないこともありました。
ひどいですね。
その場合は係員を探すかとりあえず改札まで行ってみましょう。

乗車

バスターミナルによって、鉄道でいう入改札と乗改札の両方がある場合、どちらか一方しかない場合、どちらもない場合がありました。
改札は身分証・パスポートではなくQRコードを読み取らせる方式でした。
パスポートとは違いQRコードの読み取りは問題ありません。

出改札はないです。

飛行機

今回は飛行機は使っていません。

上に書いた通り、高鉄網が中国全土に整備されたことで鉄道の使い勝手が格段に良くなり(もともと決して悪くなかったが)、相対的に飛行機を選択する理由が小さくなった感じがします。

よほどの長距離であれば飛行機もありでしょう。

レンタカー

海外旅行に行くと空港でレンタカーを借りて自分で移動するという人がいますが、すごいと思います。

自分はとてもできないので、これについては何も言えません。